管理栄養士は病院や介護施設、学校、食品系企業の開発…等、仕事先の選択肢が多岐にわたる職業です。
このページでは、とくに管理栄養士としての知識・スキルが問われるチーム医療の一員として働く病院栄養士についてご紹介します。
病院栄養士になるには?
企業が人材を求めるときは、即戦力になる人が欲しい場合と、長期的に勤めてくれる人が欲しい場合の二通りがあります。
当然、病院の場合も同じです。
そのため、卒業後の働き口を探す場合、新卒での採用を考えている病院からの求人を探さなければなりません。
新卒採用の求人が最も集まるのは、当然学校です。
「この学校を出た新人栄養士が欲しい」と思って求人を出してくれているのですから、一般に広く公開されている求人に比べ、有利に働くことも多々あります。
例えば採用実績などから、学校と企業との信頼関係があれば、選考前から良い印象を持たれている可能性も充分考えられます。
また、OB・OGがいれば、実際の仕事の内容や職場の雰囲気、人間関係などのリアルを把握しやすいといった利点もありますね。
つまり、学校に来る求人から探すのが、内定への一番の近道なのです。
しかし、学校にくる求人は、勤め先が学校周辺であることがほとんどです。
Uターン就職等のように、学校から離れた土地に就職を考えている場合、医療系求人に特化した求人サイトを利用すると良いでしょう。
この場合でも、学校の就職窓口は最大限活用することをおすすめします。
一方、一般の求人サイトやフリーペーパーで探すのは非常に効率が悪いです。
全体の求人数がたくさんあるように見えますが、これに対して栄養士の求人はほんの数件…ということも多々あります。
学校に病院の求人が集まり出すのは、一般企業に比べて遅いことが多く、大体秋ごろにピークを迎えます。
但し、良い求人を見つけたければ、油断は禁物です。ピークとなる前から、求人票はこまめにチェックする習慣をつけましょう。
>>管理栄養士の転職。検診センター、老人施設、病院の仕事内容。
チーム医療の一員・管理栄養士の仕事内容・待遇
仕事内容
病院での管理栄養士の仕事は、食材の発注等を含む厨房業務と献立作成(稀に栄養管理)がメインです。
調理は調理担当(調理師やパート)にのみ任せる場合もありますが、それでも管理栄養士が調理補助をするというパターンは多々あります。
給食施設(厨房)自体を民間企業に委託している場合は、厨房業務はなくなり、委託会社の管理や献立作成、栄養管理などの事務仕事の比率が増えるでしょう。
医療チームの一員としての栄養指導
管理栄養士は栄養士業務に加え、栄養指導も入ってきます。
積極的に病棟に向かい、患者様や摂食状況を把握することが求められることもあります。
生活習慣病が増えている今、栄養指導の仕事はかなり重要な仕事です。
チーム医療に力を入れている病院であれば、医師や看護師、理学・作業療法士などに加わって、入院患者の症状の改善のための食事内容の提案などもしていかなければなりません。
日々の勉強や責任感が必須のたいへんな仕事ではありますが、専門職として、医療に深く関わることができる非常にやりがいのある仕事と言えます。
*チーム医療とは、一人の患者に 複数のメディカルスタッフ(医師・看護師・薬剤師・理学療法士・細胞検査士・臨床検査技師・臨床工学技士・作業療法士・言語聴覚士
・診療放射線技師・臨床心理士・精神保健福祉士・管理栄養士など)が連携して、
治療やケアに当たることです。
勤務時間
厨房業務メインか、事務メインかで大きく変わるのは勤務時間でしょう。
厨房業務が主な仕事となる場合は、早番有りのシフト制をとります。
早番の主な仕事は朝食を作ることですので、患者様が朝食をとる時間より数時間(午前5時前後)早く出勤しなければいけません。
反対に遅番は夕食の片付けまでが仕事なので、午後7~8時頃には帰れるでしょう。 事務仕事がメインの場合、勤務時間は固定のことが多いです。
但し、厨房業務をメインとする場合に比べ、残業が求められる場面がしばしばあります。
女性の職場
最近では男性の管理栄養士や調理師も増えてきましたが、職場はまだ「女の職場」という意識が強いのが正直なところです。
しかし基本的には人数は多くありませんし、作業をする部屋もそう何部屋もあるわけではありません。
そのため、見通しの利く職場だと言えるでしょう。
通勤・アクセス
基本的に職場は入院施設のある大きい病院であるため、多くは駅から少し離れた立地にあります。
とはいえ、病院の利用者が通院しやすいよう、駅から離れている場合はバスが近くを通っていることがほとんど。
そのため通勤は公共交通機関で事足りることから、車の免許がなくても、それほど困りません。
逆にマイカー通勤を許可している場合も多く、通勤に悩む必要はそれほどありません。
給料
栄養士・管理栄養士とも資格職ではありますが、管理栄養士の方が専門性が高いため、給料は数千~二万円程度高いことが多いようです。その他の待遇に大きな違いはありません。
*病院への就職は短大卒の栄養士ではなかなか難しいのが現実です。病院で働きたい人は管理栄養士を目指しましょう。
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病院栄養士になりたい高校生へのメッセージ
医療の仕事はまだまだ少なくなることはありません。これから需要はもっと増えます。
健康ブームなども追い風となり、管理栄養士はこれからも安定して仕事のあると考えられます。
管理栄養士は多くが女性であることもあり、妊娠や育児、介護などで一度業界を離れても、復帰しやすいという利点もあります。
実生活に即生かせる資格というのも魅力のひとつですね。
一方で、病院栄養士(とくに管理栄養士)は専門性の高い職業です。
ハードルが高そうに見えますが、管理栄養士としてのスキルを充分に発揮することができますし、チーム医療など社会への貢献性も高い、とてもやりがいのある仕事と言えます。
学校で学んできたことだけで満足せず、貪欲に知識を吸収していく姿勢のある人にはぜひ目指してほしいと思います。